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濃厚なのに後味さっぱり。『ダイワファーム』で味わう、小林ならではのチーズたち

みなさんは、「酪農が盛んなところ」「乳製品がおいしい地域」といえば、どんな場所を思い浮かべますか? きっと、多くの人が「北海道」を思い浮かべるのではないでしょうか。
でも実は、宮崎でもおいしい乳製品を味わえるんです。今回は、小林市で乳製品を作る「ダイワファーム」さんをご紹介します。
チーズ、アイスクリーム、ヨーグルト、ソフトクリーム……どれも濃厚な味わいのなかに、「小林ならでは」のおいしさを感じることができます。なかでもチーズは、国内外のコンテストで賞を獲得するほどの、知る人ぞ知る逸品なんです。
ではいったい、「小林ならでは」の乳製品、どんな味なのでしょう。おいしさの特徴と秘密をお伝えします。
さっぱりと、さわやかな後味が「うちの良さ」

ダイワファームの乳製品たちが持つおいしさの特徴。それはずばり、「濃厚な味わいながらも、さっぱりとさわやか」なところ。チーズを口に入れてみると、まずはしっかりと「チーズらしい」香りと味わいを感じられます。ですが、いわゆる「チーズくささ」がマイルドで、後味はさっぱり。
「初めのころは、『もうちょっとチーズらしいクセを出したいな』なんて悩んだ時期もあったんです。だけど、もう今は開き直りました。北海道とも、チーズの本場イタリアとも違う、さわやかな後味。これがうちの良さなんだって」
こう話すのは、ダイワファームの代表・大窪 和利(おおくぼ かずとし)さんです。
アイスクリームやソフトクリームも、ぎゅっと詰まった牛乳の「濃い」味を感じられると同時に、甘すぎず、どこかさわやかな後味。この独特の「さっぱり感」が、老若男女に愛され、人気の理由になっているのです。

こだわりの搾りたて牛乳だからこそ

では、このおいしさはどうやって作られているのでしょう?
大窪さんは、「とにかく原料のおいしさが製品に出てくるんですよね」と言います。
「うちは、加工がメインだからこそ、それに適した牛乳を作っています。普通、餌にはとうもろこしや大豆などの穀類を多く混ぜることが多いんだけど、うちでは牧草が主体。穀類主体にした場合よりも、牛乳が出る量は少なくなるけれど、このほうが質が高くて濃い牛乳が出るんです。草が多いと、脂肪分が高くなるんですよね」
小林のきれいな水も、おいしい乳製品づくりには欠かせません。ダイワファームでは、国有林から湧き水をひき、天然鉱石でろ過した水を牛に飲ませているのだとか。
牛舎の環境も工夫されていて、山から吹き下ろす風が心地よく抜けていく場所で乳牛たちが暮らしています。
それから、搾りたての牛乳をすぐに加工できるというのも、ダイワファームのおいしさの秘訣です。搾りたてを使うことで、新鮮で、牛乳本来のおいしさをキープしたまま、乳製品を作ることができます。これができるのは、加工場兼店舗のすぐ裏に牛舎があるダイワファームだからこそです。


チーズづくりには“感性”が重要

ダイワファームで乳製品づくりが始まったのは、1990年代なかばのことでした。
もともとは牛乳の出荷をメインに、大窪さんのお父様の代から酪農をされていたそうですが、平成5年の生産調整(牛乳の生産量を制限する行政指導)をきっかけに、加工を始めました。
まずは、大窪さんご自身が大好きというアイスクリームから始め、その約10年後からチーズづくりもスタート。
農業雑誌で「家庭でできるチーズ」の記事を見て興味を持ったのが、チーズづくりの始まりだったそうです。それからは、毎日ひたすら研究の日々。
「チーズづくりっていうのは、その人の“感性”が重要になってくると思うんですよ。レシピとかいろいろあるけれど、その通りにやっておいしくなるかといったら、決してそうではない。言ってしまえば、チーズづくりは“科学”なんだけど、だからといって大学の研究室でつくっても、ぜったいできないんですよ。だから、自分でいろいろ工夫するんです」
チーズづくりは難しいけれど、楽しくて仕方ない

「本当に難しいけれど、試行錯誤するのが楽しくて仕方ない」と、チーズづくりにのめり込んだという大窪さん。
国内でさまざまな研修に参加したり、積極的にチーズづくりを学んできたそうですが、本場イタリアを見てきたことが大きな経験になったとのこと。
「本場の味は、やっぱりすばらしい。でも、イタリアの作り方をそのままこっちに持ってきても、やっぱり理想の味にはならないんですよね。環境が違うから。気候も違うし、そこにいる微生物も違う。牛の種類が同じだったとしても、味は違ってくるんです」

日本の素材を使って、小林でチーズを作るにはどうしたらいいのか。これを“感性”を使って試行錯誤できるのは、本場の味とノウハウを知っているからこそなのですね。
酪農のイメージがない土地でチーズづくりをしてきたなかで、「宮崎では無理なんじゃないか」という言われたこともあったそう。
だけど「無理だ」という声なんてものともせず、今では「小林ならでは」のおいしさを確立するまでになりました。
多くの人に愛され、世界に認められる製品を生み出しても、まだ現状には満足していません。
季節によって、日によって、牛の体調が少しずつ違ってくるため、そのぶん牛乳の成分や味も微妙に変わってくる。
変化に合わせて毎日牛の状態を見ながら、加工工程や餌の配合を微調整したり。日々、試行錯誤を欠かしません。


「チーズづくりっていうのは難しいですねえ」と、温かく、ほんわかとした笑顔で話す大窪さん。
とってもやさしく穏やかなお人柄ですが、今回お話を聞いて、その内に燃える飽くなき探究心を垣間見ることができました。チーズづくりは「感性が必要な科学」とおっしゃるように、大窪さんは研究者の視点と、経験に基づいた感性を駆使し、小林ならではの乳製品を生み出しているのですね。
ぜひみなさんも、「濃厚なのに、さっぱり」な、小林ならではの味を楽しんでみてくださいね。
きっと、今までに味わったことのないさわやかな後味を感じられるはず。それから、お店で味わえるソフトクリームも絶品です。いつか小林を訪れた際は、ダイワファームに立ち寄ってみてはいかがでしょう。

